ネフェリン(霞石) nepheline (Na,K)AlSiO4 戻る

六方晶系 一軸性(−) ω=1.529〜1.546 ε=1.526〜1.542 ω-ε=0.003〜0.005
※石英とは共生しない。
※屈折率・干渉色ともに低く,火山岩では石基部分に少量しか含まれない場合,見落としやすい。

色・多色性:無色で多色性はない。

形態:通常は他形で,自形はほとんどない。なお,火山岩では希に空隙に面して6角柱状の自形の断面が認められることがある。

消光角:通常は他形でへき開や双晶は認められず,定義されないが,火山岩中の空隙に面した柱状のものは直消光。

伸長:通常は定義されないが,火山岩中の空隙に面した柱状のものは負。

へき開:ほとんど認められない。

双晶:認められない。

累帯構造:Na⇔Kの部分的置換があるが(原子比でNa:K=4:1〜3:1程度のものが多い),累帯構造は光学的には認められない。

産状
アルカリ火成岩の代表的な鉱物。
閃長岩などのアルカリ深成岩に多く,エジリン〜エジリン普通輝石・黒雲母・ケルスト閃石・長石類・チタンざくろ石・燐灰石などと共生する(長石類に似るが双晶は認められず干渉色はそれよりやや低く,かつ,1軸性負なので区別できる。燐灰石とは,ネフェリンは屈折率が低く他形のことが多い)。
アルカリ火山岩では長石類,ゲーレン石−オケルマナイト系鉱物,チタン磁鉄鉱,普通輝石などと共生するが,斑晶として見られることは少なく,石基中に特徴のない微粒子で含まれ,量が少ない場合は見落としやすい(※粒子が小さい場合が多く,アイソジャイアーの観察ができず,長石類との区別が困難)。



アルカリ火山岩(ネフェリナイト)中のネフェリン 
Ne:ネフェリン,Bt:黒雲母,A:普通輝石
※平行ニコルで不透明な黒色斑点はチタン磁鉄鉱(ウルボスピネル〜磁鉄鉱固溶体)
※クロスニコルで無数の微小な短冊状のものは普通輝石(非常に細かいので厚みがなく干渉色は白く見える。斜長石に似るが平行ニコルで屈折率が高い)


平行ニコルで石基中に抜けたように見える屈折率の低い部分がネフェリン。クロスニコルでは不定形の暗灰〜白色の干渉色を示す他形集合体をなしているのが分かる。アルカリ火山岩ではこのように石基中に目立たない状態で含まれ※粒子が小さいので,アイソジャイアーの観察ができず,長石類との区別が困難),量が少ない場合は見落としやすい。斑晶として見られことはあまりない。
なお,このようなアルカリ岩中の普通輝石は著量のTiを含み平行ニコルで紫褐色を帯び,チタン普通輝石と呼ばれるものがある。黒雲母もTiに富み赤褐色が強い。